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創られる「需要」?

神経経済学(Neuroeconomics)という学問があるそうです。最新の脳科学を経済活動に活用するというものです。たとえばサブリミナル効果と言うものがあります。数百ミリ秒以下のごく瞬間的に提示された映像などは、我々の意識に上ることはありません。しかし、潜在的に我々の行動選択に影響を与えます。意識は、実は色々な粉飾が付されているので、本人でさえ、自分の本心がわからないことがあります。それを脳画像装置や脳波、脳磁図法など非侵襲的脳機能計測法によって捕らえ、脳が何を感じているかを、本人の言葉に惑わされることなく読解が可能だそうです。この技術を用いて、新製品の選択嗜好性に関し、市場調査を行い、何を、誰に、どのようなキャッチフレーズで販売するか、などのマーケッティング戦略を決定するための学問です。この分野には大企業が真剣に投資活動を進めているそうです。(日本の科学者42・中村俊)実は企業のPR、マーケッティングに大きな変化が起こっています。元来、テレビ局にとって本当の商品は“広告”です。番組は、広告を売るための客寄せに過ぎません。その証拠に、緊急ニュースのテロップが、番組中に流れることはあっても、CM中に流れることはありません。そして次第に、商品を「さりげなく」番組に登場させるという「プロダクト・プレースメント」と言う手法が主流になってきています。トヨタが、所有したサーキット(富士スピードウエイ)をPRするために製作させた木村拓哉主演の「エンジン」というテレビドラマ。NHKすら、「プロジェクトX展」というイベントを開いて、取り上げた企業から最高で3000万円ものお金を「協賛金」と言う名目で集めています。たとえば花王は「広告を何回見てくれると商品を覚えてくれるのか」「そのためにいくらかかるのか」といったコストを厳密に計算しています。このような「科学的マーケッティング」の行き着くところは実は皮肉なことに「広告」離れなのです。HDDレコーダの普及によってCMを飛ばしてみることが常識になってきて、その経済的影響は540億とも試算されています。今や広告の主役はかつては認められていなかった「サラ金」(これすらコンプライアンス問題で激減している)「パチンコ」「宗教団体」になってしまっています。企業はもう多額のお金を広告にかけるより、もっと効果的な方法を模索しているのです。関東圏では毎週80本を越えるアニメが放送されていますが、実はファンドが関与しているそうです。彼らは、ビデオ化やキャラクターの商品化による利益を当て込んで投資をしているのです。これらの番組は、商品化ビジネスのための「試供品」ですから、ストーリーは完結することはなく、人気があれば映画やビデオで続編がリリースされる仕組みになっています。今や、何気なくテレビを見ているうちに自分の考えや好みまで「作られる」時代になっているのかも知れません。(参考文献「CM化するニッポン」谷村智康)(M)