活動方針2016

Ⅰ.私たちを取り巻く情勢

日本経済は、中国経済の減速に加え株価の大揺れ、為替レートの円高への流れ等、中小企業にとっては実成長率の予測が当たらず経済の実態に加え経済報道への違和感、不信感が渦巻いています。

違和感、不信感と予測が当たらなかった理由として、
①大企業の収益向上はあったが、その実績は為替収益によるものであり、トリクルダウン神話への不信。
②2012年対ドルで79円、輸出総額63.8兆円が2015年の1~11月期は同121円で62.3兆円に留まっている。輸出増につながらない円安神話への失望。
③異次元緩和は「世の中に出回るお金を増やすこと」と説明したが、増えたのは日銀預金であり、個人の財布は増えず「アベノミクスを続ければ増えるとしている」マスコミの報道。
が上げられます。
それらを反映し、日経平均が上位4社で20%を所有している状況での14年春以降の日経平均株価と景気動向の乖離は現場の景況感に大きく陰を落としています。
今後の我が国の経済を見通す時、
①2008年のリーマンショックでバブルは終わりを告げ、バブルが起きない。言わばアベノミクスはバブルを起こせなかったと言えます。
②日銀総裁が「これ以上の円安はない」と明言するように、行き詰まった円安誘導策はもうごまかしが効かない。
③中国経済の減速は牽引役としての機能の低下であり、世界経済を引っ張る牽引役がいない。
という環境が露呈している。
という現実があります。

その中国を見ても、アメリカがリーマン以後世界経済の牽引役から退き、新たに台頭した中国であすが、中国人観光客による「爆買い」は2015年9月で終了した感も否めません。同時に不動産への食指も減速しており、中古マンションの在庫は都内23区で34%増、都心3区では91%増という状況で、成約価格も前年比マイナス0.6%下落し不況感は拡大しています。また、製造業の中国向け輸出は3割減という状況です。

円安と国内の基幹産業の側面では、原油安での収益環境のプラス面はあるものの、東海地区の車関係を見ても「売れているのはプリウスだけ」という状況は、経済の実態を如実に映しているのではないでしょうか。

このように厳しい経営環境の到来を見越した中で、中小企業経営にとっては事業の継続を図る上で次の3つの課題の解決を、統一的に取り組んでいくことが求められています。

一つは、伸びないマーケットの中での顧客創造です。二つ目が、地域間格差の拡大と地域に、元気がないと中小企業も一緒に埋没してしまうという地域課題です。
最後は、労働力人口の減少による人手の確保の課題です。
「人口減社会」「消費税増税」「同一労働同一賃金」、「外形標準課税」の導入、また、TPPの締結など、中小企業にとって厳しい経営環境の到来を見据え「人を生かす経営」を根幹に「生きる・暮らしを守る・人間らしく生きる」という人間本来の「望み」を、社員とともにどう創っていくかがより一層問われる時代に突入することになります。「地域と共に歩む中小企業」として固有の役割を果たし、地域を良くする経営が問われるのです。
滋賀県も2015年を契機に人口減に転じました。その原因は、これまで流入により増加してきた人口が自然に減少したのではなく、若年者の人口流出によるものです。前述の3つの課題が大きな壁となって、現実問題として中小企業経営に立ちはだかるのに時間は掛からない状況にあると言っても過言ではありません。経営の「科学性」「社会性」に磨きを掛け、努力が報われる経営環境の創造に向け、地域課題の解決を自社経営の課題として位置付けるとともに、中小企業振興基本条例の制定とその推進など、全国的に広まっている中小企業を軸にした地域振興の取り組みを学び広げること、同友会運動に結集する仲間を地域に増やしていくことが求められます。

Ⅱ.2016年度スローガン

指針経営の実践で強靭な企業づくり・頼れる企業をめざそう!

Ⅲ.重点方針

1.「人を生かす経営」の総合実践、経営指針に基づく企業づくり

1)労使見解に基づく経営指針づくりと指針経営(注1)の実践を推進します。
①経営指針を創る会「成文化コース」「実務化コース」を開催します【経営労働委員会】。
②モデル企業認定制度(滋賀でいちばん大切にしたい会社認定)の認定企業と挑戦企業を増やします。【経営労働委員会・各支部】
③21世紀型中小企業づくり(注2)をベースに会員企業づくり報告による問題提起の例会を開催し、会員一人ひとりの実践となる例会や活動づくりを行います。【各支部】
④第27回滋賀県経営研究集会を11月に開催します。【理事会・実行委員会】

2)求人から採用、共に育つ社員集団づくりを推進します
①新入社員、中堅社員、幹部社員研修や課題別研修などを会員の要求に基づき開催します。【共育委員会】
②社内実践を進めるため「月間・共育ち」の普及や共育行事を開催します。【経営労働委員会・共育委員会】
③求人・採用活動を京都及び関西ブロックと連携して取り組みます。【共育委員会】

3)課題別・要求別の学びの場づくりを推進します
①中小企業の国際化・海外ビジネスの展開を支援し、経験を交流します。【新産業創造委員会】
②中小企業の仕事づくり、地域づくりのために環境問題やエコノミーシフトの研究をします。【新産業創造委員会】
③青年経営者の学びの場として、近畿圏青年部合同例会を10月に開催します。【青年部】

2.地域や社会の要請と企業づくり

①2019年障害者問題全国交流会開催に向け、誰もが働きやすい企業づくり、地域や社会とのかかわり方の学び合いを展開します。【ユニバーサル委員会】
②地域を支える企業として、地域で働き、暮らす社会づくりのため、多様な雇用、求人・採用・共育を一体として会内外で活動します。【共育委員会・ユニバーサル委員会】
③職場体験学習・インターンシップ、大学とのキャリア教育支援に取り組みます。【共育委員会・各支部】
④中小企業憲章国会決議や県内市町の中小企業振興基本条例の制定に向けて他団体との連携を強化します。【政策委員会】
⑤中小企業の経営環境を改善するための政策提言を行います。【政策委員会】

3.中小企業の発展を支える同友会づくり

1)会員一人ひとりが主人公の増える組織・減らない組織づくりを進めます。【例会・組織活性化委員会】【各支部】
①同友会らしい例会づくり(注3)とグループ討論(注4)で会員一人ひとりの経営実践につなげます。
②会員の顔と企業が見える関係づくりに努めます。課題別・興味別の研究グループ会の開催や役員・事務局による定期的な訪問活動を実施します。
③支部ごとに新入会員のオリエンテーションを開催します。
2)地域法人組織率10%:1400名会勢を展望する組織づくり・リーダー育成【例会・組織活性化委員会】【理事会】【各支部】
①中同協5万名達成方針に合わせ、2019年度800名をめざし、当面すべての支部が地域で5%の組織づくりを目標にします。
②組織を担う同友会理念の体現、実践をめざすリーダー(理事・支部運営委員等)の育成に取り組みます。理事会の主要な役割を支部活動の強化に置き、支部でのリーダー育成を支援します。また中同協行事への参加を広げます。
③中期ビジョンの策定、財政方針を検討します ④女性経営者、青年経営者の組織強化で、次代リーダーを育てます。
⑤中同協全国行事を企業づくり・同友会づくりの学びの場として位置づけ、理事会・支部で目標を明確にして参加を進めます。
⑥事務局は組織建設を最優先課題とし、支部・委員会主体的運営を進め、増強・会員訪問・対外活動取り組みます。

※【 】は主な担当組織をさします

注1)指針経営
「指針経営」=「理念経営」(注)を補強する概念。「経営理念」が「経営」の理念である限り、健全な「経営」と「理念」は不可分と言う考え方から、「経営理念」の成文化と共有・浸透だけに終わらず、自社事業の分析、外部経営環境の調査、自社の成長・発展戦略の立案、その戦略に基づく具体的な行動計画とその実践などを通じて、「経営理念」の実現をめざす。またその戦略、行動計画は「経営理念」に示された考え方や、価値観に沿ったものであるべきなのは言うまでもない。
「理念経営」=経営理念を中心に置いた経営。経営理念で思い描く理想の自社、地域の実現をめざす。そのために、“会社がめざす目的と大切にする価値観=経営理念”を明らかにし、常に理念に立ち返り、理念に基づく業務、行動を実践しようとする。

注2)21世紀型中小企業づくり
第一に、自社の存在意義を改めて問いなおすとともに、社会的使命感に燃えて事業活動を行い、国民と地域社会からの信頼や期待に高い水準で応えられる企業。
第二に、社員の創意や自主性が十分に発揮できる社風と理念が確立され、労使が共に育ちあい、高まりあいの意欲に燃え、活力に満ちた豊かな人間集団としての企業。
なお、「21世紀型中小企業」をめざす上で、欠かせないのが、「労使見解」(「中小企業における労使関係の見解」)の学習です。これは、1975年に中同協が発表した文書で、労使の信頼関係こそ企業発展の原動力であるとする企業づくりの基本文書です。
(同友会運動の発展のために第3次改訂版 11ページより抜粋)

注3)同友会らしい例会
「同友会らしい例会」=「同友会の月例会は会員の経営体験の報告とそれを受けてのグループ討論が基本となります。報告者と事前の打ち合わせを十分行うなど例会づくりの準備の過程も学ぶ場になり、例会を充実させます。謙虚に学ぶ姿勢でのぞめば、どんな話からでも学ぶことができます。同時に企業経営で実践するために変革の姿勢で学び続けることが必要です」
(同友会運動の発展のために第3次改訂版 15ページより抜粋)



注4)グループ討論
「グループ討論」=「同友会の例会では、報告者は問題提起者です。報告者の話を自分の体験に重ねて聞き、さらに他の人の意見や経験も自らの経験の重ねて聞き、討論することで自社の実践に取り入れることができます。そのために同友会の例会ではグループ討論を重視しています。」
(同友会運動の発展のために第3次改訂版 16ページより抜粋)

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