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2010年度
滋賀県に対する中小企業家の要望と提案
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2009年10月吉日発表
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滋賀県中小企業家同友会
代表理事 蔭山 孝夫 〒525-0036 草津市草津町1512 TEL
077(561)5333 FAX 077(561)5334 E-Mail:info@shiga.doyu.jp URL:http://www.shiga.doyu.jp
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目次
はじめに 1.次代を担う若者の育成と雇用創出 2.新事業の創出・起業支援で雇用の場づくりを 3.中小企業の活性化による滋賀県経済の再興を 4)地元自治体と連携して活力ある中小企業を育てるために、市町単位での「中小企業振興基本条例(仮称)」制定を促進してください。 5)各自治体と連携し、継続性のある中小企業の実態調査ができる仕組みづくりを
さいごに
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はじめに
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1)滋賀県中小企業家同友会の紹介
私たち滋賀県中小企業家同友会(以下、滋賀同友会:1979年1月創立、会員数600名、総従業員数18,000人)は、「よい会社をつくろう」「よい経営者になろう」「経営環境を改善しよう」の三つの目的を持ち、「自主・民主・連帯」の精神で会を運営し、「国民や地域とともに歩む中小企業」をめざして活動している中小企業経営者の自主的な非営利団体です。
私たちは、自主的自助努力による経営の安定・発展と、中小企業をとりまく経営環境を改善することに努め、1997年より毎年「中小企業家の要望と提案」を作成し、滋賀県知事、商工観光労働部、県議会各会派、地域金融機関に提出し、懇談を重ねてまいりました。
中小企業家同友会は、地域経済にやさしく中小企業や市民など借り手にとって円滑に資金供給が行なわれる金融システムをめざす「金融アセスメント法の制定」をめざして全国的に運動を展開してきました。滋賀同友会は県下の議会に対して「金融アセスメント法の制定を求める意見書」の採択運動を実施し、滋賀県議会をはじめ県下51議会(当時・100%)で採択されました。
2)滋賀県における中小企業・自営業の占める位置と役割
さて、2000年には「EU小企業憲章(リスボン憲章)」や日本政府を含む49ヶ国によって「0ECD中小企業政策に関するボローニャ憲章」が相次いで採択、さらに2004年6月、0ECDは「イスタンブール閣僚宣言」でボローニャ憲章を改めて評価し、中小企業の育成と強化が重視されています。
日本においても中小企業政策を産業政策における従来の「補完的役割」から「産業政策の柱」として位置付けることが重要であり「中小企業憲章」の制定が求められています。中小企業家同友会では日本独自の「中小企業憲章」の研究にとりかかり、特に地方自治体においては中小企業振興基本条例の制定に向け全国的に努力しているところです。
「戦後最大」で「世界恐慌」と言っても過言ではない大不況の中、毎日のように廃業・倒産の嵐が吹き荒れています。中小企業は「明日は我が身」と不安に怯えながらも、必死の自助努力をしています。
平成18年総務省事業所企業統計によると、県下55,768事業所の99,7%、雇用の85,7%(476,325人)を中小企業が占めています。また、製造品出荷額では49,9%(3兆1858億322万円 H17年調査)となっています。したがって、滋賀県経済を再生させるためには、これら多数の中小企業の活性化が不可欠です。加えて、既存企業をベースにした「新事業の展開」が新規創業やベンチャー企業の創出につながり、「第二創業」として注目されています。既存中小企業への親身になった政策支援は開業率アップのインセンティブにもなります。
近年、大企業誘致が自治体間の競争になっていますが、大企業誘致による「新規」雇用の大部分はパートや派遣、社内異動であり、雇用創出効果は限られています。一方、中小企業は地域に根差した存在であり、雇用の源泉となっています。中小企業が元気になってこそ、滋賀県経済が立ち直り、滋賀県の税収も増え、雇用の増大にもつながります。
これにはアメリカのコロラド州リトルトン市で取り組まれた「エコノミック・ガーデニング」という地域再生手法が参考になります。手間暇をかけて地元の企業を育てることこそ、長期的には雇用と税収を増やすことになると報告されています(「アメリカ中小企業白書2006」)。
3)同友会の基本姿勢
これまで私達は自主的自助努力による強靱な体質の企業と経営環境の改善に向けて、次の課題に取り組んできました。
1)人間を人間として大切にする理念型の企業づくりで、構造転換による地域経済の空洞化に歯止めをかけ、地域の雇用を守り発展させる
2)経営指針(経営理念・方針・計画)の成文化と実践による経営者の意識改革と経営革新
3)共同求人活動により新卒学生の採用と、生きる力を育む社員“共育”活動
4)中学生の職場体験学習、高校・大学生のインターンシップなど地域や大学との“共育”的連携の推進
5)持続可能な滋賀モデルの学習と中小企業の役割
6)共同作業所・授産施設と連携し、障害のある人の自立支援と循環型の地域づくりをめざすオフィス古紙リサイクル運動
7)産・学・官・民の連携による新しい仕事づくり
8)障害者の自立支援に向けて、職場体験(トライワーク)の受入と雇用推進、共同作業所の就労収入向上支援、ユニバーサルデザインものづくりと住まいの研究
9)中小企業や市民など借りる側にとって円滑に資金供給が行われる金融システムをめざす「金融アセスメント法(仮称)」の制定運動(滋賀県議会および県下50市町村議会(当時)で早期制定の意見書採択)
10)中小企業を国民経済発展の中核的担い手として、国の根幹を支える重要な役割を正当に評価し、中小企業政策をわが国の基本的政策として位置付けることを宣言する「中小企業憲章」の制定に向けた学習運動。地域においては「中小企業振興基本条例」の制定と、その担い手となる企業づくり
私たちは、地域の「生きる」「暮らしを守る」「人間らしく生きる」ことの担い手となる良い企業づくりをさらに進めることはもとより、リーマンショック後の世界同時不況の影響を近畿で最も大きく受けている滋賀県においては、地域の暮らしを守り雇用を創出するために最も確実で有効な政策として、中小企業政策を最優先課題として位置づけて取り組まれることを願っております。
以上のことから、滋賀県経済の再生と雇用創出のために最も確実で有効な政策として、中小企業政策を最優先課題と位置付けて取り組まれるよう以下の項目を要望・提言します。
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1.次代を担う若者の育成と雇用創出
2008年9月、アメリカの証券会社大手「リーマン・ブラザーズ」が、アメリカ史上最大の負債総額で倒産し、急速に世界的規模での金融危機へと拡がりをみせました。滋賀県においてもその余波を受け、雇用状況をとってみても状況は深刻で、2008年1月の有効求人倍率1.28倍が、2009年7月には0.35倍となっています。
景気は依然厳しい状況にはあるものの、このところ持ち直しの動きが見えてきているようで、19ヶ月ぶりに前月を0.01ポイント上回っていますが、1年前と比べるとその差は歴然としており、まだまだ厳しい状況であることには変わりありません。
新規求人の状況としては、7月の段階で5,456人であり、前年同月比28.4%減と19ヶ月連続の減少となっており、主要産業別に比較すると、宿泊業・飲食サービス業で5.6%、サービス業で0.9%の増加となりましたが、建設業で38.2%、製造業で63.9%、情報通信業で78.4%、運輸業、郵便業で56.9%、卸売業・小売業で22.9%、学術研究、専門・技術サービス業で25.5%、生活関連サービス業、娯楽業で16.8%、教育、学習支援業で23.4%、医療、福祉で9.1%の減少となっています。
まさしく、景気動向と有効求人倍率とが連動していることを示しています。
一方で、製造業、卸売業での雇用過剰感が強い中、医療・福祉、生活関連サービス・娯楽業等、飲食サービス業等での雇用不足を見込んでいる業種が多く見られます。とりわけ中小企業では、「人材が最も重要な経営資源である」と捉えており、中長期的な労働力人口の減少が予想される中、将来を見据えた人材確保・育成戦略は重要な経営課題となっています。大企業が採用を抑制する中にありながら中小企業の求人倍率は1.0倍を上回っており、人材確保の好機と考えているところが多いと言えます。
また滋賀県に限らず国、地方自治体全てに言えることですが、滋賀県の税収も今般の経済不況で2009年度予算は前年度当初予算より400億円の減収となる見込みです。これにより企業以上に行政の財政状況は疲弊状態であることは明らかであり、より費用対効果のある予算執行、施策が求められることになるでしょう。
人は「職を求めて移動する」ことから、人口の増減にとって雇用の場の確保は大きな課題です。
滋賀県は、全国でも数少ない人口増加県の一つですが、その要因は交通手段の発達と生活コストの安さが大きく要因しているものの、地域の規模が一定水準を超えると過密と生活コストの上昇に繋がることになります。
我が国の地域経済の根幹は中小企業です。持続的な発展を実現していく上では、その分母を増やしていくこが重要であり、地域でのビジネスチャンスを創出することで人口の増加と課税所得が向上し、県民の所得の増加以上に地方税収入が増えることに繋がります。
GDPを維持していくため、1,000万人の移民受け入れがまことしやかに囁かれていますが、再度、足下にある障害者、女性、母子家庭、若年者等の就労問題を「訓練・保護」の枠内にとどめることなく、且つ個別の福祉的対応のみで支援していくことは社会的コストの増大を招くことから、地域の活性化と統一的な視点で見ていくことが大切です。
私たちは、人材確保の視点から下記のセクターに対して、一企業の努力だけでは対応しきれない点について行政との共働により雇用の枠が広がることで、就労の促進に繋がると考えています。
「誰もがすみよい滋賀県」をめざす上で、主体的な政策展開を要望いたします。
1)特別な支援を必要とする高校生やニートの就労支援を地元のNPOや企業の連携で取り組みましょう。
滋賀県内の公立・市立の高校には、現在362人の何某かの特別な支援を必要とする生徒が在籍しています。全国的な統計でも、全日制で1.6%。定時制14.1%、通信制で15.1%の在籍率となっています。多くが、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)等の発達障害のある生徒です。
支援を必要とする生徒に対する地域の社会資源を活用したサポート体制と、就労に対する特別な支援システムが必要です。
2)児童虐待への対策をさらに進めましょう。
2008年度の児童虐待相談件数は、「児童虐待の防止等に関する法律」に定義付けされている「身体」「性的」「心理的」「ネグレクト」の4分類で40,639件、統計開始が開始された2002年と比較すると40倍に増加しています。
また、児童虐待による虐待死事案で虐待者の7割弱が実母であり、その内の7割前後が地域社会との接触が「乏しい」か「ほとんどない」状況にあります。言い換えれば、「支援の必要な母親は家に閉じこもっている」状況で支援が届かないということです。
虐待は、虐待を受けた児童にとどまらず、次世代の子供にも影響を及ぼすものであり、地域でのきめ細やかなセイフティーネットの構築に加え、警察と児童相談所との連携、親になる前に学校教育等を通じて虐待に対する認識を深めておくことが大切である。
3)中小企業に働くお母さんの環境整備(保育施設・児童クラブの設置)をすすめましょう。
厚生労働省の調査によると、2009年4月1日現在で、全国の待機児童数は25,384人に昇り前年同月比30%の増加で過去最高の状況です。この数字には、認可外保育所の利用者はカウントされていません。待機児童の多くが1〜2歳児(全体の63.7%)が占めており、保育所の年齢別受入可能定員が3歳未満児は少ないこと、また、女性の就業率が向上しているものの、加えて、景気の悪化により家庭収入が減少し共働きを望む家庭が増加したことがあげられます。
就労の有無に関係なく利用できる認定子ども園の整備もすすんでおらず、地域経済の根幹を担う中小企業にとっても人材を確保していく上で大きな課題となっています。
また、保育に加え、小学校入学後の授業終了後にとって学童保育所の拡充も大切であり、「次世代育成支援対策推進法」、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の具体化等、行政組織の横断的な対応が必要です。
4)障害者の就労支援・雇用の促進をさらに取り組みましょう。
我が国では、障害のある人たちにとっての「働く」は、二つの枠組みが存在します。
それは、憲法22・27・30条を基本とした何人にも認められた権利としての労働である「一般就労」と、憲法25条の枠内で、「働く権利」が保障されない「福祉的就労」という二つの枠組みです。
障害者自立支援法において「就労支援の抜本的強化」を唱え、地方自治体と連携し福祉的就労の環境改善に動き出しています。また、「福祉」と「雇用」、企業等との連携による一般就労へのより一層の推進が必要です。
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2.新事業の創出・起業支援で雇用の場づくりを
1)「滋賀版ニューディール」を中小企業・自営業の活性化とともに推進し、持続可能な社会づくりへと繋げましょう。
昨年秋以降の急激な景気悪化を受け、知事は「滋賀版ニューディール政策」を打ち出しています。
その中で、滋賀県は製造業への依存度が高く、県民総生産の中に占める第2次産業の割合が50%近くあり、日本一の比率であること。第2次産業は滋賀県にとって地域経済と県民の生活・雇用を支える基盤産業でしたが、一方で、今のような不況のときに外需依存型の弱みがでてしまうことも否定できないと延べられ、件経済の多角化、多様化を求め、より内需を高める政策が必要だと言われています。
そして「滋賀版ニューディール政策」では、滋賀の大きな資源である森林と農業、琵琶湖を活かした「水と緑の雇用政策」、そして、「人と人をつなぐ」医療、福祉、教育分野での雇用創出を提案され、若い世代のキャリア形成を助け、「未来の滋賀力アップ」の仕事づくりを進め、地域でお金が循環し、地元の人と自然を元気にする「内発的発展」を目指されています。
この施策を掛け声だけに終わらせないためには、単なる緊急雇用対策としての位置づけではなく、滋賀を持続可能な社会へ転換させる中・長期にわたる戦略的視点をもって取り組むことと、リーディング産業育成重視や企業誘致中心の政策から転換し、その推進力となる県内中小企業・自営業の活力を最大に引き出すことが欠かせません。
地域に生まれ、地域と共に歩み、地域になくてはならない存在であったからこそ継続し続けてきた中小企業・自営業との連携をさらに密にし、その活性化を通じて推進されますことを強く提案します。
2)部局間連携を推進し、中小企業が取り組む新事業への仕事を生み出してください
中小企業にとって環境を始めとした新事業は、常に入り口あって出口無しという状況が続いています。多くの企業が展示会等へも出展し自助努力で頑張っていますが、壁にぶつかっているのが現状です。新しい仕事づくりで雇用の場を増やすには、研究開発への支援はもとより、販路の開拓が焦眉の急です。
そこで、県も厳しい財政状況の下、最小投資で最大の効果を上げていくためには、予算面で部局間連携を思い切って推進し、新規事業に取り組む中小企業に仕事がまわる仕組みを作り上げてはいかがでしょうか。
例えば、道路整備に関する予算の枠内で、街灯設置の一部(すべてに導入する必要はありません)をLED照明にして、その事業に取り組んでいる企業を公募しモニターすれば、土木の予算で「LED照明のモニター設置事業(仮称)」が誕生し、照明技術に関する新事業が育成されます。
また、学校の整備予算で校庭や屋上の緑化、雨水を利用した散水システムを導入しモニターすれが「エコグリーン・イン・スクール事業(仮称)」が立ち上がります。
この取り組みであれば、新たな予算措置をとることなく、新事業創出を支援することが出来、一石二鳥です。大事なことは、各部局の予算に中小企業による新事業を育成するための枠を年度当初に取ることです。
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3.中小企業の活性化による滋賀県経済の再興を
1)「中小企業憲章(仮称)」の制定を国に対して働きかけてください
@なぜ「中小企業憲章」が必要なのか〜「中小企業基本琺」だけでは不充分〜
1999年旧中小企業基本法が改定され現行の基本法ができました。旧基本法(1963年制定)は、大企業との格差是正を主たる政策目標としましたが、現基本法は、伸びる企業、やる気のある企業を支援することを主眼としています。そのことは一理あると考えますが、残念ながら470万からある中小・自営業の役割を積極的に引き出し、日本経済のダイナミズムをどう取り戻すのか、ここが見えてきません。下図のように、「基本琺」が有っても先進国で唯一、企業数が減り続けている現状が問題だと言えます。
フランスでは09年1〜6月期の起業は271,896社。半年で5年前(268,000社余り)の水準を超えました。すでに2000年代初頭から減少に歯止めはかかり増加に転じていましたが、02年から起業推進政策(1ユーロ起業の認可、申請書の簡略化、補助金支給など)が成功していると言われています。特に今年1月からは「個人事業主制度」(税や社会保険料を取引額に応じて支払う、ネットで企業登録が可能)などの支援も始まりました。「基本琺」だけでは不充分というのが私たちの見方です。

Aなぜ私たちは「中小企業憲章」制定を提起するのでしょうか?
「憲章」「法律」「条令」などは最終的には、国民の負託を受けた行政府、立法府が起案・制定すべきものです。しかし、それは広い国民的な議論を経て、総意として制定されなければ意味がありません。中小企業家同友会が50年を超える実践の中で獲得してきた理念(自主・民主・連帯、3つの目的、国民とともに歩む)を日本の産業政策の中心にすえ、08年から始まった「世界恐慌」にも地域経済をしっかりと守っていくシステムを築く事が、国民や個人事業者、中小企業を守る道だからです。
中小企業家同友会全国協議会では下記のように定義しています。
第一に、同友会は経営指針づくりや「労使見解」をベースにした社員教育活動など強じんな体質の企業づくり活動、その原動力となる経営者の自己革新の推進、中小企業の経営努力が報われる経営環境改善活動を同友会三つの目的の総合的実践として進めてきました。その中からめざすべき企業像としての「21世紀型企業」やあるべき日本経済の方向など、憲章の目標となる内容が明らかになってきました。つまり、国民の理解と共感を得る実践を積み上げてきた自信の裏付けがあるといってもよいでしょう。
第二に、国民の中小企業に対する認識を変えることが求められていること、これも同友会運動のなかで痛感させられてきました。共同求人活動、インターンシップ活動等を通して、教育者や学生、父母の中小企業に対する正確な見方と信頼を確かなものにすることの重要性です。憲章制定は、国民の中小企業に対する意識の変革を促すことになります。
第三に、各同友会で取組まれている産学官連携、共同開発グループ等の新しい仕事づくりや地域づくりが、中小企業の活路を展望する憲章の精神を実践で示していることです。これらの新しい地域ビジネスモデルや政策モデルが同友会運動の中から育ちつつあることによって、憲章が抽象的な言葉ではなく、実践に裏付けられた先行事例を含めて提起できるのです。
第四に、金融アセスメント法制定運動の広がりに見られるように、同友会の政策・提言内容とその実現をめざす運動が、国民的運動へと発展しうる広がりと深さを増してきていることです。
Bなぜ、いま「中小企業憲章」なのでしょう?
まず、現在の大不況に見られる、世界経済の危機と、それに組み込まれてしまった地域経済の課題が在ります。まず自主努力により、個々の企業が自主・自律の強靭な経営を築く事は勿論ですが、1970年代から進められた新自由主義・市場原理主義による危機は、抜き差しならない物があります。個々の企業や、企業グループの自助努力を本当の意味で支援する政策が、喫緊の課題です。
EUの「小企業憲章」やアメリカの「エコノミックガーデンニング」「地域再投資法(CRA)」「規制柔軟化法(RFA)」など先進各国は国内では、中小企業を中心にすえた経済政策を推進しています。その結果1980年代以降、日本以外の先進国では、開業率が廃業率を上回り、中小企業数が増加しています。日本経済の要である中小企業群が、瓦解の危機に直面し、世界の先進国から脱落していくがけっぷちとも言える状況の今こそ、「憲章」の必要性の国民的コンセンサスが求められます。先端産業優先などのいわゆる「トリクルダウン戦略」は、世界の産業政策の主役を退き、中小企業・地域活性化にフォーカスした国内経済戦略が世界の趨勢だといえます。今回の衆議院選挙で政権党となった民主党も、そのマニュフェストの中で「中小企業憲章」の制定を謳っております。
私たちは、行政、他の経営者団体、組織化されていない商工業者、市民に広く提起し、議論し、ともに「検証制定」運動を進めてまいりたいと考えております。
つきましては、滋賀県としても今日の情勢で「中小企業憲章(仮称)」の必要性をご認識いただき、広く県民に対しても論議を呼びかけていただくと共に、国に対しては憲章制定の要請をお願いします。
2)「滋賀県中小企業振興基本条例(仮称)」の制定を
中小企業政策は、地域経済活性化政策と緊密に結びついています。「憲章」は理念そのものであり、その理念の下に具体的戦略や、計画が立案される必要があります。これは、市・町単位での具体化が最適であると考えられます。この単位自治体の努力を促し、支援するために、国レベルでの「憲章」、県市町レベルでの「条例」が不可欠です。この「条例」によって、やる気のある自治体職員の取り組みを保証し、首長や議会構成が変わっても不変の地域経済政策を担保することが出来ます。
さらに、新中小企業基本法では、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、中小企業に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する(第6条地方公共団体の責務)」と規定しています。その規定から要請されることは、中小企業政策を産業政策の柱と位置付ける理念を明確にし、どんな時代にあっても揺るぎなく実効性のある中小企業政策を講じることができるように環境を整備することだと考えます。その法的根拠としても「滋賀県中小企業振興基本条例(仮称)」を制定することが必要であり、そのことによって世界的な流れになっている「Think small first」(小さい企業を先に考える)という考え方を明確にすることができます。
滋賀県においても中小企業を地域政策・産業政策の大きな柱に位置付けるために「「滋賀県中小企業振興基本条例(仮称)」を制定して下さい。
尚、2002年以降13道県で中小企業振興基本条例の制定が進んでおり、特に2008年は5県で制定されています。
2008年 奈良県、徳島県、沖縄県、神奈川県、山口県
2007年 千葉県、熊本県、北海道、青森県
2006年 福島県
2005年 三重県
2004年 茨城県
2002年 埼玉県
3)条例制定にあたっては、中小企業の活性化と地域や産業の振興を展望したビジョンや戦略会議を並行させて中小企業関係者などから広く意見を聞く機会を設け、関係者の共通認識をつくる努力を重ねて下さい。また、条文には以下の点を重視して頂くことを提言します。
@前文では滋賀の自然的経済的社会的な地域特性及び条例の必要性を明記し、第1条等では中小企業の役割と中小企業政策の重要性を位置付けた目的・理念を明確にする。
A商業、工業だけでなく、建設業やサービス業、第一次産業など全ての産業を含める意味から「中小企業」の名称で位置付けることを明確にする。
B知事の責任、予算の確保を明確にする。
C県民は中小企業が地域経済の振興・発展及び府民生活の向上に重要な役割を果たしていることを理解し、中小企業の育成・発展に協力頂くことを明確にする。
D地域経済・中小企業振興に対する大企業者や大学の責任、努力義務を明確にする。
E中小企業振興とまちづくりを結合させた豊かな地域づくりの観点を明確にする。
F一定期間ごとに条例を見直す規定を入れ、「育てる条例」の観点を明確にする。
G中小企業経営者も含めた中小企業施策の検討機関「中小企業・地域活性化会議(仮称)」の設置を明確にする。
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4)地元自治体と連携して活力ある中小企業を育てるために、市町単位での「中小企業振興基本条例(仮称)」制定を促進してください地域中小企業を柱に据えた元気な地域づくりをすすめるためには、各市町が地域特性を考慮した丁寧な中小企業振興策を策定することが必要です。
県が率先して「中小企業振興基本条例(仮称)」を制定され「中小企業立県滋賀」を宣言していただくことで、各市町においても「中小企業振興基本条例(仮称)」の制定が促進されます。弊会では地域の支部単位で、「中小企業振興基本条例(仮称)」制定に向けた学習や行政との対話を行いますので、県からも条例制定の助言や働きかけを積極的に行ってください。
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5)各自治体と連携し、継続性のある中小企業の実態調査ができる仕組みづくりを
今回の世界同時不況によって、大企業が必ずしも地域の雇用に役立っていないことが明らかになりました。中小企業はいかなる時代にあっても地域の雇用の担い手であリ、中小企業を守り育てることこそ滋賀県の再興には無くてはならないものです。大切なことは「現場に解あり」の姿勢です。有効な施策とは対象の置かれている状況を把握し、問題点を明確にした上で練られなければなりません。ゆえに、実態調査によってその地域の最新情報をつかみ、その地域に合った支援策を講じることがいま早急に求められています。
滋賀でも、草津市、東近江など現場に出向く実態調査活動が各自治体において増えてきており、調査データは各自治体の「産業振興ビジョン」策定に等に活用されています。何よりも地元の中小企業の現状について、自治体職員自身が実感をもって把握することができたことが各自治体の財産となり政策に反映されています。
埼玉県では産業労働部の中に調査分析チームを設置し、四半期ごとに県内の中小企業を対象に調査をして、県の施策に役立てると共に、中小企業家同友会などでの勉強会でも活用されています。 ( http://www.pref.saitama.lg.jp/A07/BA00/Doukou/DOUKOU.HTM )
滋賀県としても商工観光労働部内に調査分析チームを結成し、県として独自の実態調査を行うと共に、各自治体に対して継続的に実態調査ができるように支援策を講じて下さい。
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さいごに 世界恐慌とも言える大不況の波は、全国的に見ても第2次産業、特に外需依存型の製造業を中心とした産業構成であった滋賀県にかつて経験したことがないほど大きな影響を与えています。中小企業・自営業は、まさに崖っぷちとも言える経営状況に追いつめられていますが、地域の暮らしを担っている使命感に燃えて、全社一丸で力を合わせ、事業活動を継続しております。急激な受注の減少に対応した資金面や雇用維持に関する緊急措置によって何とか目先をしのいでいますが、地域経済そのものが力強く回復する兆候は全く見えておらず、経営指針を見直し経営理念の実現と自社の事業領域見直しによる新たな市場の開拓など、科学的で大胆な企業の再構築に取り組んでいます。
知事も、今回の状況から外需依存型の産業構造から、経済の多角化、多様化を進め、より足腰の強い産業構造を構築していく必要を強調され「滋賀版ニューディール政策」を提唱しておられます。この流れの具体化の中にこそ、世界を市場化し、すべてを競争の下で推し量り、一部の勝者にのみ圧倒的な富を集中させることをよしとする新自由主義に変わる、新しい地域経済と社会システム構築のヒントがあると考えています。
いまこそ、「生きる」「暮らしを守る」「人間らしく生きる」という人類普遍の願いを実現する経済や社会の有り様を一つひとつ具体化し、その実行を担う主体者を地域の中で共に育成し、中・長期的な視点で滋賀県経済の再興に着手すること無しには、県民の不安を安心に変える滋賀の未来を展望することは出来ません。
私たちは滋賀県経済の再興を担うという社会の要請に応えるため、自主的自助努力をより一層強化し、全社一丸で良い企業づくりに努める決意を持って、ここに要望と提案を提出しますので、関係各位のご協力を宜しくお願い申し上げます。
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