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真の「人間尊重経営」実践へ、今こそあゆみ始めよう!

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「滋賀県でいちばん大切にしたい会社パート1」を発表するにあたって

-はじめに-(2009年)

ここに一冊の本があります。
「日本でいちばん大切にしたい会社」
法政大学大学院の坂本光司先生が書かれた本です。 ここには、我々、企業経営者が、真剣に目指すべき「企業のありかた」が示されています。2008年のリーマンショック以来、どん底におちたまま一向に回復しない景気の前に、「人間尊重経営」を目指す私達同友会企業の中にも、多くの不安や悩みがあります。

従業員にも賃金カットや、残業廃止などの苦しみを求めざるを得ない経営者。
万策尽きて、社員の解雇や自主退職を求めざるを得ない経営者。
事実、中同協(中小企業家同友会全国協議会)が定期的に行なっている景況調査(DOR・09年7~9月期)でも、世界不況の影響を受けていると答えた企業が、1033社中567社(55%)と、過半を占めています。 その影響として「需要減少」を上げている企業は実に83.9%に昇り、特にこれまで花形といわれた、自動車、電器、機械などの製造業に影響が多いことが見て取れます。
しかし注目すべきはそのような危機にあって、同友会の企業が「人間尊重の経営」の理念を堅持し続けていることです。たしかに急激に企業を襲った売り上げの激減という事態の前に、「人件費削減・人員削減にも手をつけざるを得ない状況もうかびあが」っています(中小企業家しんぶん・2010年1月15日号)。
しかし「人減らしは最終の手段とし“人を大切にしている”状況」(同前)も明確に現れています。今回の危機に対する企業の防衛手段として人件費の削減という対応は11.5%(6位)、人員削減は9%(8位)といずれも下位の対応となっており、「売り上げが下がったのだから、雇用の継続は出来ない」とばかりに「これはルール通り」として、胸を張って派遣社員と言う、「人間」の生活に止めを刺して平然としている某大企業経営者たちとは、全く違う人間味に満ちた対応と苦悩が見て取れるのではないでしょうか。

「経費削減対策の実施、役員20~30%、管理職10%、社員5%の給与カット」「社長50%、役員30%、社員10%」など、役員報酬削減をまず行い可能な範囲で社員にも協力を要請している姿が目に浮かびます。
元来、大企業と中小企業では社長、社員の収入には大きな差があります。
カルロスゴーン氏率いる日産の平均役員報酬2億6000万円はさすがに別格としても、トヨタ3500万円、三菱1500万円程度と見られています(2005年)。中小企業経営者の平均年収は450万円と言う説を採ると、およそトヨタの13分の1。一方、大企業の社員の平均年収は740万円、中小企業では380万円、零細企業では280万円と言われているので、大企業VS中小企業ではほぼ1/2。このような中で、経営者が30~50%、社員で10%の賃金カットがいかに過酷なものかが理解できると思います。
大きな悩みを抱えながら、日々経営の維持や、自社の社員の暮らしや雇用を守る事に心を砕いている経営者の姿に痛々しいものすら感じます。
彼らは「社員は最良のパートナー」と考え、「人間尊重の経営」の理念を掲げつつも、折れそうになる自らの心とも日々格闘しているのではないでしょうか?
このような苦境を救う手立てはないものか?何か心のよりどころとなる経営の真髄を確立しなければとても勇気を振り絞ってこの難局を乗りきれるものではない。
そういう私達に、「日本でいちばん大切にしたい会社」たちはまぶしいばかりの「人間尊重の経営」の姿を示してくれました。

理屈でも、掛け声でもない、生身の「人間尊重の経営」の営みがここにはあります。その中に生き生きと描き出される、経営者の生き様のなんと暖かく、自然な事でしょうか!まさに「理念」と「経営」が一体となったお手本のような「会社」たちです。

「そうだ、そうだったんだ。私が目指していた会社の姿とはこれだったんだ」。この危機の中で、いやこの危機の中だからこそ、改めて自分達が目指している会社の有り様に目を見開かされる思いを感じた経営者も少なくないはずです。 しかし、私達経営者は、とりもなおさず当事者です。「日本で一番大切にしたい会社」たちに感心や尊敬を感じているばかりでは意味がないと言えます。まさに、自らが、一歩ずつこれまでのあゆみを振り返り、まなざしを上げて、力を振り絞って再び、真の「人間尊重経営」実践のあゆみ始めなければならない使命を帯びている事を忘れることはできません。
「日本でいちばん大切にしたい会社」には残念ながら、今のところ(2010年2月現在)滋賀県の会社は取り上げられていません。当然、我が滋賀県にも、皆に知って欲しい、我が社の経営のお手本にしたい会社がたくさんあります。勿論、著者には時間や、書籍のページ数などの制約があり、滋賀の会社が紹介されていないことをとやかく言う事ではありません。ここは坂本教授の志を受け継ぎ、文才のなさ、取材や切り込みの不十分さをも省みず、可能な限り県内の「人間尊重経営」実践企業を紹介してみたいと思うのです。

「人間尊重の経営」を唱える事は、あるいはそう難しい事ではないかも知れません。しかし、それを形にし、その「こころざし」が社員や仕入先、顧客や企業を取巻く人々に伝わっていくためには、長い長い年月にわたる実践の積み重ねと、微動だにしない強い意志の力が必要です。
しかし、一方で、経営者が自身を磨き続け、成長し、「人間尊重の姿勢」を人格にまで高めることが出来たなら、それを実践し続ける事は、そう困難なことではないのではないでしょうか。むしろ、そのことで経営者自身が回りに助けられ、教えられ、「経営」をまさに至上の天職と感じる事が出来るのではないでしょうか?「人間尊重の経営」とは、とりもなおさず経営者自身が、自己を最大限に「尊重」することのできる経営に他ならないのではないだろうかと思わずにはいられません。
そして「日本でいちばん大切にしたい会社」に紹介されている企業が示すように、「人間尊重の経営」こそが、いかなる不況の中にあっても企業を隆々と発展させていく、根本的な経営力なのだと思います。
そのような問題意識を持ちながら、可能な限り多くの滋賀県の優れた会社を紹介して行きたいと考えています。
題して「滋賀でいちばん大切にしたい会社~パート1」
読者の皆さんのご一読、ご批評を、心から期待いたします。

まとめに換えて

滋賀県中小企業家同友会・組織活性化委員会ではこれからも、県内の会員企業を中心にして「滋賀でいちばん大切にしたい会社」を紹介して行きたいと思います。
今回の3社を訪問し、お話を伺って気づいた事は、それぞれの経営者の皆さんは決して肩に力が入っていない、極めて自然体だと言う事です。「大切にしたい会社って、ウチが???普通の事をしているだけですけど・・」と言うスタンスなのです。そして、まさにこれが本当のことだと思います。「金」「成長戦略」「勝ち負け」「効率第一」などと言う日々流し続けられるキーワードに迷わされ、社員を一方的に叱咤することで、彼らの自主性や成長を壊してしまうのではなく、「人間尊重」と言う、しっかりとした軸をぶらさずに生き、考え、経営するということの結果が3社の今日のありようとして実を結んでいることに他ならないと思います。

そして、いずれの会社も力強い経営をされています。確かに戦後最悪の不況の真っ只中ですが、経営者は誰一人として弱気になっておられませんでした。むしろ言外に力強ささえ感じたものです。企業が一番必要とされるものは、一時の巨大な利益ではありません。「株主」はもしかするとそれを喜ぶかも知れませんが、社員、その家族、取引先、金融機関などの関係者は「継続」をこそ求めています。企業は何より社員の生活の場であり成長の場です。
坂本先生の言われる「企業が使命と責任を負う5人」の筆頭である社員にどう、まっすぐ目を向け経営をしていくかが問われていると言えます。そして、それは決して特別な事ではありません。意外に意識せずに、心温まる経営をされている会員さんは多数居られると思います。是非、自信を持って自薦、他薦でのご応募をお待ちしています。
さらに、どの会社も完成しているということはありません。さらによくなる必要があります。
「企業そのものは、より大きくなる必要はないが、常によりよくならなければならない」(ドラッカー)。中小企業家同友会は今、国や地域に対して「中小企業憲章」「中小企業振興基本条例」の制定を要望しています。実はこの「中小企業憲章・草案」注)こそが、人間尊重の経営を横糸として、私達が目指すべき縦糸―「よくなる」の具体的内容を明らかにしています。 滋賀同友会では、この「憲章」「条例」制定への取り組みの一環として「モデル企業認定制度」をスタートしています。「憲章」や「条例」は制定することが目的ではなく、このように素晴らしい経営を目指している企業を支え、増やし、その結果として地域経済や地域そのものをよりよいものにして行こうという企業家のマニフェストに他なりません。「滋賀でいちばん大切にしたい会社」のいまひとつの、判断基準として提起させていただきたいと思います。
是非、こちらもご一読いただき、多くの会社が、「中小企業憲章・草案」に示された企業のあるべき姿を目指していただければ幸いです。

「中小企業憲章・草案」注)はこちらよりご覧下さい。

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滋賀いち~滋賀でいちばん大切にしたい会社 [ 滋賀県中小企業家同友会「モデル企業認定制度」]